解夏

2005年2月11日
「解夏」と書いて「げげ」と読みます。
解夏とは禅宗の修行僧たちが夏の90日間「庵」に集まり、共同生活をしながら座禅をする“雨安居”という修行の終える日のことです。
この修行は“結夏(陰暦4月16日)”に始まり、“解夏(陰暦7月15日)”に終えます。
劇中ではこの「解夏」を、“失明する”という行(恐怖)から解き放たれる“失明した瞬間”に置き換え、全体のテーマとしています。

物語は長崎がメインとなり、主人公・隆之はある日「ベーチェット病」と診断されいずれ失明すると宣告されます。
隆之は恋人・陽子にいずれ負担がかかるようになると思い、別れを告げます。
隆之は一人故郷の長崎へと戻り、古い級友などの優しい心遣いを受けながら、徐々に失われてゆく視力で故郷の景色を目に焼き付けようと日々歩き続けます。
そこへ陽子が「やはり分かれられない」とやってきます。
ある日、隆之は陽子と共に訪れた寺で林という老人に出会い、林の温かい人柄に触れ自らの病気のことを告白します。
そこで林は隆之に「雨安居」の話を聞かせます。
林は隆之に対し、失明するという恐怖は“行”だと言う。そして辛い辛い行を経て、失明した瞬間に恐怖から解放される、その日が隆之にとっての“解夏”なのだと。

物語は隆之にとっての“解夏” 、感動のラストへと走り始めます。

 
何かがあったからでなく、本当に偶々この物語と出会いました。
「失明する」という恐怖。徐々に見えなくなっていく。
実際に体験するまで分かるものではないと思います。
それでもこの作品を見ていたら本当に自分の目が見えなくなっていくような気がしてきて‥‥。
目が見えない自分とこれから共に生活していくのはキミにとって不幸だ。
――愛しているから、別れよう。――
「私の幸せを勝手に決めないで!」
――愛しているから、別れない。――

あなたが失明するとしたら 最後に見たいものは何ですか

「解夏」その日、すべてが消える。そして、始まる。

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