「スプートニクの恋人」とは、ホント上手いこと付けたなぁ、と。

広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きした恋。
衝動的でありながら、有無を言わせぬ恋。
たまに彗星や他の衛星と急接近するが、しかし時が来ればまた自分自身の軌道を周り続けてしまう"スプートニク"のように。
そこに独りぼっちに残された"ライカ犬"のように。
その後に残された時間を寂しく思うか、それともたとえ一瞬でも出会えたことを素晴らしく想うのか。
そんな恋。
「ぼく」にとって「すみれ」は、性的な欲望を抱く(しかしそれは他の「ガールフレンド」で処理できる)対象、すなわち交換可能な記号であった筈なのに。
いつの間にか「すみれ」は「ぼく」と「世界」を繋ぐ象徴的な存在へと変わっていた。

難しいけど、読み応えのある村上ワールドやと思います。

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