衝撃の一日

2008年5月13日
たぶん日付なんかすぐ忘れると思うけど

いやそんなことはどうでもよくて

今日っていう日を一生忘れへんと思う。

グロテスクって思う人もいるかもしれんから嫌な人は詠まんといて下さい。
  

 
 
生物で鶏の解剖をしました。
正確にいうと脳の観察。
年度初めの説明でそういう授業が組み込まれているのは知っていたけど、それが今日とは。
生きた鶏でやるのかと思ってたから身構えてしまったけど、もう殺されて血抜きもされた状態の頭やった。
凍らされた頭を一人一つずつ渡されて、ノコで切る。
不思議な感覚やった。
凍ってたからってのもあるけど、固かった。
でも意外に柔らかかった。
切断面をみて驚いた。
人間の脳は頭のほとんどを占めてるけど、鶏は1/5ぐらいやった。
ほんと驚くぐらい小さかった。
こんな小さなカタマリが一羽の鶏を制御してたんか。
凍っている表面に水をかけて溶かすと脳とはっきりと認識できるようになった。
切断面は間脳を境に大脳小脳と中脳延髄。
「すげー」という言葉があちこちから聞こえた。
一度中断し、スケッチをした。
ここまでが今までのオレやった。

そしてこれを機に何かが変わった。
それはオレだけじゃなくみんなそうやったと思う。
先生は脳を取り出してみなさいと指示した。
どうせならキレイに取りだそうと思ったので慎重に作業を進めた。
間脳が浮き中脳が浮いたあたりで中をのぞくと延髄の姿が確認できた。
しかし取りだそうとしても延髄は奥深くまで繋がっており、なかなか出てこなかった。
周りから外していこうと思った。
最初は軍手をしても躊躇していたのに、もうなんの躊躇もなかった。
気づけば素手だった。
頭蓋骨はハサミで切れた。
驚くほど柔らかかった。
スポンジのように穴が空いていた。
表面の皮を切り
耳の後ろにハサミを入れ
最後は手で頭蓋こつを割開いた。
すべてが現れた。
大脳中脳小脳間脳延髄。
シャーレに取り水に浮かべた。
そこには脳が浮かんでいた。
さっきまで鶏の頭の中に収まっていた脳が。
不思議だった。

あちらこちらで効果音が鳴り響いた。
記録としてケータイのカメラで写真を撮っていた。
最初の状態から、シャーレに浮かぶ脳まで。
異様だった。
最初は直視することもままならなかった者が、興味のまなざしで食い入るように見つめていた。
罪悪感がなかったわけじゃない。
でもきれい事を言うつもりもなかった。
ただ異様だった。
そこは非日常の世界だった。

殺したのはオレじゃない。
でも殺したのはオレだった。
鳥であろうと豚であろうと牛であろうと羊であろうとアジであろうとイワシであろうとタイであろうとハマチであろうと
生命だ。
それを人間は食べるために殺す。
オレが殺さずとも
オレが食べている。
それは紛れもない事実だ。

なぜ人は魚や動物を殺すのに
人を殺すことは許されないのだろう。
なぜ魚や動物を殺すことは許されるのだろう。

分からない。
それが良いことなのか悪いことなのか許されることなのか許されないことなのか。
分からない。

でも頭蓋骨を割いたあの瞬間の感覚だけは
今も手に残ってる。

 
今日という日を絶対忘れない。

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